【書評】『18歳のビッグバン―見えない障害を抱えて生きるということ』 人生で○☓で答えをだせない難問は誰もが抱えている。自分だけの答えを探している人への参考書。

この本を強く勧めているブックレビューを見て、気になっていたのですが、市内の図書館にあったので早速借りてみました。

やまもといちろう 公式ブログ – 【書評】『18歳のビッグバン 見えない障害を抱えて生きるということ』(小林春彦・著) – Powered by LINE

amazonの紹介文はこんな感じです。

大学受験を目指していた18歳の春に「広範囲脳梗塞」で倒れ、身体機能と脳機能に重複した障害を抱えた筆者。
3年の闘病を経て一部の障害を克服するが、外見からは困難が分からない中途障害者となる。
いま28歳の筆者は、東大先端科学技術研究センターに従事し、「見えない障害」問題の啓発で講演やトークイベントなど東奔西走する。
「見えない障害」問題を訴える渾身の書

悩みながら丁寧に書かれた本。

彼が本を書くのには、大きな葛藤があったといいます。

彼が抱えているのは、「外から見て分からない、言葉で説明されてもよく分からない」障害です。

多くの人が未知の障害について書くことは、自分がモデルケースになったり、誤った情報が独り歩きしないかという心配があったそうです。

「障害があっても健気に明るく生きている」「障害を乗り越えて頑張っている小林くん」という風には伝えたくない。健常だった時と変わらず、うまく行かなかったりドロドロとした気持ちだって持つ自分を伝えたいと、丁寧に言葉を選んで書かれています。

その気持が伝わってくる真摯な文章は、「障害の体験記」というテーマを超えて伝わってくるものがあります。

社会に出ると、誰もが模範解答など用意されていない問題にぶつかります。もがいたり悩んだりしながら、答えを探すのは小林くんの姿は、誰もが共感できるものではないかと思います。

自分の立ち位置が分からない苦しさ。健常者なのか?障害者なのか?

私が最も共感したのは、筆者の小林春彦くんが、障害を持った後に迷ったり傷ついたりしながら、自分の立ち位置を確立していく姿です。

彼の障害は外から見えないだけに、自分が健常な人なのか、障害者なのか、まわりも自分も彼をどう扱えばいいのか?という戸惑いや辛さを抱える事になります。

健常人として生きていこうとすると「一部の記憶が難しい(相貌失認、地誌失認など)」、「体の左側にあるものに気がつかない(体左側空間無視)」等の障害から受験、就職、人間関係でうまくいかないことが起きてきます。

自分が障害者だというと、外から見えないためにどうやって理解してもらうか?という問題にぶち当たります。

その中でもがきながら、自分の立ち位置を築いていく姿が清々しく、彼の姿にどんな立場の人が読んでも勇気づけられる内容の本だと思いました。

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