人には情報を画像としてとらえるのが得意な人、言葉としてとらえるのが得意な人、その他の処理が得意な人もいます。
何かがあって、何かがないわけではなく、得意不得意があるという事です。
それは正に私たちの個性を形作っているものでもあり、多様な個性をもった人がいるという事自体が素晴らしいことだと思っています。
形を形として捉えるのが苦手な脳もある。
先日から、「視覚性認知の神経心理学」という本を読んでいて、たくさんヒントがあったのですが、その中で斜め線の識別が出来ない症例が出ていました。傾きが違うたくさんの線の中から、提示されたものと同じ傾きを探す検査のサンプルも出ていました。
出来る人には簡単すぎる検査ですが、視覚認知に不得意があると、違いを見分けづらくなります。
斜め線が見分けづらいと、斜め線が多用されている文字や図形を見分けるのに、人より多く努力がいるかもしれません。
見本と同じものを探すのに、斜め線の識別が弱いと時間がかかったり、疲れてしまうのは容易に想像できます。
弱い経路ではなくて強い経路を探す
上の図を見たまま、ぱっと「同じ!」と同じ図を見つけられる人もいれば、
「左は二等辺三角形、上は横になった二等辺三角形・・・」と言葉に直した方が理解が楽な人もいます。(言葉に直すには、この図は複雑すぎますが、ちょうど良い例が見つけられませんでした)
弱い認知(視覚情報の処理)を強い認知(言語または音声による処理)に変換して補っているのです。
文字などを言葉に直して伝えると、すっと覚えられる子がいるのは、この経路を使っているのではないかと思います。
dを教えるのに、「cを書いて長い棒」だよと伝えるのは形を言葉に直して伝えているということです。
逆に情報を口頭で伝えても、あまり伝わらないなと思った時は図や絵を提示するとよく伝わる子もいます。
視覚、言語、聴覚、色々な経路があるのが誰にとっても楽。
今、このブログに貼ってある画像がなく、文章だけで伝えようとしたら同じ内容をお伝えできるか自信がありません。
また、画像だけ貼ってあっても、私の伝えたい事は伝わらないでしょう。
画像が適度に入れられている記事は読むのが楽です。誰にとっても複数の情報の経路がある方が楽なのです。
人によっては、多すぎる情報がかえって邪魔になる場合もありますが、もし字や形で苦労している子がいたら、複数の経路で働きかけてみるとよいと思います。