なぜスポーツ選手がここ一番の時に普段の力が出せないのか?
大きな試合や試験など、緊張を強いられる大切な局面で、どんな脳機能が関係して失敗を呼んでしまうのかがテーマの本です。
人はプレッシャーなど特別なストレスがかかると、行動について考え過ぎてしまい、ワーキングメモリー(頭脳馬力)を正しく使えなくなってしまいます。
無意識にやっていたことを意識してしまうと、上手く出来なくなる感じは誰もが経験するものです。
それに対する対策は、くよくよ考えないことや、普段から少しストレスがかかった状態で練習する… 等々。
ですが、その他に書かれていたことが面白かったので、今日はそのことについて書きたいと思います。
ワーキングメモリが小さいとクリエイティブになる可能性
学習においては、ワーキングメモリは大きい方がいいと言われています。
ワーキングメモリは頭の作業台ともいわれ、記憶しながら思考したりするのに使うので、大きければ様々な事を楽にこなせるというイメージでしょうか。
ワーキングメモリが大きい人の方が学業成績は良い事が多いのですが、クリエイティブな事を思いつくためにはワーキングメモリの大きさが邪魔になるという説が書かれていました。
ワーキングメモリーが大きい人は「最も最適化された道筋を早く探す」という分野には長けているのですが、そのせいで横道にそれたり新しい発想には行きつけないという考え方が新鮮でした。
ワーキングメモリーが小さい人は、思考があちこちに飛びやすく、拡散した思考が結果として、意外な解決を見つける確率が高いのでしょう。
ワーキングメモリは大きい方が得することが多いと思っていたので、小さいほうが向いていることがあるというのは驚きでした。
語学に関してもワーキングメモリの小さいほうが有利な時もある。
子どもはワーキングメモリがまだ未熟です。
頭の中で扱える情報量が少ないので、その分言葉を細かい単位(単語など)でしか扱えません。そのために柔軟な単語と単語の組み合わせを作れることになり、自然な言葉の組み合わせを覚えることになるそうです。
大人は大きいワーキングメモリを使い、大きいかたまりで言葉の組み合わせを覚えてしまいます。結果、言葉同士がくっついた状態で覚えてしまい、文法の間違いを犯しやすいそうです。
わざと気を散らせる音などを流してワーキングメモリの一部を使えなくすると、言葉の覚えが良くなることからも同じ事が言えるそうです。
まとめ
テーマに直接関係する部分は一部で、様々な心理実験の結果などが載っています。
「本番でうまくやる方法」を知りたい方はもちろんですが、心理の読み物として楽しむというつもりで読んでもいいかもしれません。
私としては、タイトルの「なぜ本番でしくじるのか」について、終始掘り下げる本を期待していたので、もう少しテーマを掘り下げていてもいいかなと感じました。