『トランクひとつのモノで暮らす』シンプルで夢のあるタイトルの暮らし方の本です。
作者のエリサさんは、札幌でバルーンアートの会社をなさっている方です。同時に「ブログ村」でミニマリストカテゴリーで一位になった人気ブロガーでもあります。
今のミニマムな暮らしに至った経緯が丁寧に書かれています。
本には、エリサさんの仕事場兼住居の写真も多数載っていますが、ミニマリストの名に違わず何もなくスッキリとした白で統一された部屋です。
たくさんの持たない暮らしのアイデアの紹介といっしょに、どういう考えで今の暮らしに到達したのか丁寧に語られています。
私自身はある程度モノのある暮らしの方が好みなのですが、暮らすことに丁寧に向き合った結果にミニマムになったのなら、その人の価値観が宿った素晴らしい部屋だと思います。
つまりは、たくさんモノを置いても置かなくても、その人が気持ちよく暮らせるなら、どちらも最高の住まいだと思うのです。
モノを減らすための10個の質問が秀逸。
4章にエリサさんが考えた「モノを減らすための10個の質問」が提案されています。
10個の質問の中には、必ずグッと自分の今の状況に当てはまる物があるはず。ここでは、私の気持ちにピタッとハマった質問を一つだけ紹介します。
「同じ用途の中でナンバーワンか?」
思ってみると、うちの中には同じ用途で使うものが数えきれないくらいあるかも。一番先に頭に浮かんだのは靴です。
服に合わせて変えるならいいのですが、同じブーツでも大して気に入っていないもの、足が痛くなるもの等、置いてあっても使わないものがいつまでも場所を占拠しています。
私はナンバー2か3くらいまでは使うので、同じ用途で数個持っていてもいいと思うのですが、「あんまり気に入っていない」モノは確かに死蔵になってしまっているなと思いました。
本を出すくらいのアイデアは面白い。
出版するくらいの方のアイデアは独創的で「それは盲点だった!」と思わせるような大胆さと合理性があります。
この本の中でも、様々な例が出ています。例えば、エリサさんは洗面ボウルのゴム栓(水を貯めるための部品)は、普段使わないので鎖ごと外して棚の中にしまっているのですが、考えてみればしょっちゅう使わないのならば、水垢が溜まったり手間がかかるモノ。
常識にとらわれず、本当に自分に必要か問いなおして実行する行動力が、痛快ですし、自分がいかに物事を自分で考えていないかを思い出させてくれます。
トランクひとつというキーワードの中にも、エリサさんの自由で軽やかな暮らしぶりが感じられる本です。