私は高校時代から数年ネイティブの個人レッスンを受けていたのですが、その時に発音を教える・習うことの難しさを嫌と言うほど経験しました。
先生は私の発音が間違っているので、正しい音を聞かせたり、あれこれ指導するのですが、その音の違いが分からないのです。seeとsheが違うと言われても、何が違うのかサッパリ分かりませんでした。結局全く上手く出来ず、先生も適当な所で諦めるという繰り返しでした。
私たちがどう日本語の音を出しているか説明するのが難しいように、英語話者が英語の音の出し方を説明するのは難しいのです。
そうこうするうちに英語を教える立場になって、発音が不安だとか教え方が分からないと言っていられなくなりました。何冊も発音の本を買ったり、講座を受けたりしているうちに「これだ!」というものに行き当たりました。
結局、発音に詳しい日本人の先生に習った方法がネイティブに習うより分かりやすかったのです。
自分が楽器だと思ったら、簡単に出来るようになった。
話すときの音は、一つは口の中の空間の広さを変えて、もう一つはのど、舌、歯、唇で、肺から出てきた空気を遮って作っています。
楽器の決まった場所を抑えると決まった音が出るように、発音する時も口の中の空間は決まった形になっています。
小さい子供さんであれば聞いた音を理屈抜きに真似することが出来ますが、「なぜ」「どのように」が必要な大人にとっては、音が出てくる理屈を知って口や舌のポジションを記憶した方がはるかに上達が速いのです。
大人にはネイティブの音を聞いて真似するスタイルより、「頭で発音の方法を理解する」ほうがずっと楽です。
まずは音を出す器官の使い方を意識する。
やり方ですが、最初に発音の本を読んでみることをお勧めします。横顔で口腔内の空間や舌のポジションが出ているものが良いです。
色々な発音の本が出ていますが、初めてなら「英語耳」が良いのではないかと思います。
次に本を参考にして口を動かして練習していくのですが、作った音に問題がないか、ネイティブや発音が出来る日本人にフィードバックをもらう事はやっぱり必要かなと思います。
生身の相手に「出来ているよ。」とお墨付きをもらってはじめて自信がついてくるものですし、聞いてもらって音の微調整をしていく過程で正しい音が聞き分けられるようにもなってきます。
さらに良かった事。
頭で音の出し方と文字を対応させていくので、意図せず発音記号や文字と音の対応が身につきました。
発音記号を知っているおかげで、「あの単語とこの単語は同じ音を使っているな。」とか「ここをこう変えるとイギリス英語になるのか。」といったことが分かります。
また文字を正しく読んだり書いたりするためには音をしっかり分かっていることが不可欠です。
読み書きの上達にも発音は大切なのです。
また、よく言われている事ですが、上手く発音できるにつれリスニングも上達するのも確かです。