この本の著者、上條晴夫先生のワークショップに行ってきました。そのワークショップの中身もさることながら、ワークショップの進行、言葉がけが素晴らしく、印象に残りました。
それは、小学校教師や大学の教授として「教える」経験から得たものではないかと思いました。少しでもその中身を知りたいと思い、上條先生の本を読んでいます。
こんな本です。
上條晴夫の著者名で、主に小学校の教師を対象に書かれた対の本が出版されています。「ほめる」と「しかる」技術についてです。
上條先生に出会う前から、この分野には興味がありました。私自身も教える仕事をしていますが、指導する立場に立つと、「ほめる」「しかる」はどちらもより良い方向に導くためのテクニックとして考えるようになります。
もちろん自然にほめたい、ここは注意すべきと思う自分の感情と切り離すことは出来ませんが、同じことを伝えるにしても、自分の言葉がけ次第で成果やモチベーション、雰囲気が変わるのを経験すると、教え方もさることながら、この2つのことが上手く出来る指導者とそうでない指導者では、結果が違うような気がしていました。
上手くほめられる、効果的に叱れる(本当は叱りたくはないのですが)先生になれたらどんなにいいだろう、そんな気持ちでこの2冊を読みました。
ほめるにも、叱るにもこんなにバリエーションがあるとは知らなかった。
例えば小学生の作文の赤ペン指導1つとっても様々なバリエーションの褒め方が紹介されています。
細かいところに気づいたことを褒める、数字や固有名詞を入れてデータをきちんと入れたことを褒める、たくさんの手間をかけて調べたことを褒めると、こんなことまで気付いてほめてあげることが出来るのか!と目からウロコが落ちたような気持ちになりました。これも、やはりしっかりと子どもの思いや行動を見つめていないと気づかないほめポイントです。ですが、逆にその気持ちで見ていれば、ほめることはそんなに難しくありません。
ほめる極意は、ちゃんと相手に向き合ってわずかな変化も工夫も気づくと言うまなざしではないかと思いました。
また、この本は相手が小学生なので、どういった表現でほめるとその年令の子どもに響くのか書かれています。
例えばグループで学習しているときに、グループがしっかり課題に集中しているときには机を中心にして頭がくっつくように輪になるのですが、それに気づいた上条先生が「丸く輪になって勉強できているね」「頭がくっついてるねぇ」とほめる言葉がありますが、これもやはり指導者がよく子どもたちを見ていないと気づかないポイントです。
叱る行為はなかなか難しいものですし、叱らなくてすめばそうしたいところですが、叱る=場の雰囲気を変えると考えると柔軟な対応が出来ます。
例えば私語が多い場合、次の3つの中から集中できる雰囲気を作るにはどうしたらいいか?と考えられるようになると打ち手も増えて気が楽になります。
- 私語を叱ってやめさせる
- 私語の中で何かを始める
- 私語のできる学びをする
指導者が向かいたい場作りがどんなものか?と考えると対処も変わるという考え方がとても新鮮でした。
「ほめる」についてもっと知りたい時は・・・。
私にとっては得るものが多かったのですが、この2冊は出版年が古いので、書店で見つけるのが難しいかもしれません。別の視点から「ほめる」について知りたい人はこの本が参考になると思います。