ライフネット生命の出口治明さんは、読書家としても有名です。その出口さんが勧めていらっしゃった本の中に、この「やりたいことがある人は未来食堂に来てください」がありました。
なぜか分かりませんが、とても惹かれてしまって即日に買って読み始めました。期待通り、今年の当たり本の一冊にしてもいいなというくらい心を動かされた本です。
あなたもチャンスがあったら読んでもらいたい、そんな一冊です。
こんな本です。
著者の小林せかいさんは、未来食堂という小さな食堂を営む女性です。
小林さんの経歴のユニークさ(東工大卒のITエンジニアから、飲食業に転身)と、他にない未来食堂の経営スタイルが話題を呼び、カンブリア宮殿などメディアで多く取り上げられています。今年は日経ウーマン「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2017【食ビジネス革新賞】」を受賞されました。
でも、著書の中にいる小林さんには、真摯な一人の人間の息遣いを感じます。「実現したい世界」を作るために、真っ直ぐ進む人の清々しさを感じるのです。
この本が素晴らしいよ、と伝えるためには、彼女の経歴や実績を書くのが近道なのですが、6章、7章に書かれている、注目を集めている自分についての戸惑いや考えを読むと、こうして華やかな小林さんの実績を私のブログで書いている事自体、ちょっと彼女の伝えたいことと離れてしまうのかなと思ってしまいます。
ジャンルとしてはビジネス書になるのでしょうが、自分と同じ時間を生きている、一人の人のノンフィクションを読んでいるような、胸の震えを感じる本です。
自分の頭で考えたいと思う。
今まで当たり前だと思っていたことを、小林さんは必ず本質を見据えて自分の頭で考えています。「なぜ飲食店にはメニューがあるのか?」「なぜお茶碗は瀬戸物なのか?」などなど、みんなが「常識だから」と疑わない部分も、彼女は自分の頭で考えます。
要素を分解し、最適解を見つけるのはエンジニアらしい思考回路なんだそうですが、私のような門外漢にとって、その思考のプロセスは驚きでしかありませんでした。
今まで、自分は何を考えていたのかなぁ、もっと自分の頭で考えたい!という気持ちがふつふつと沸き上がってきます。
文章だって、素晴らしいのです。
未来食堂が知られるキッカケになったのは、開店前に小林さんが書いていたブログです。もちろんお店が人に知られることを狙って書かれているのですが、その文章は血が通っていて、とても魅力的です。
著書の中では何を意識して文章を書いているのか、幾つも教えてくれています。
私も、このエントリーで、小林さんが意識している書き方を試してみました。今までは照れくさくてやってこなかったことです。他にも色々あったので、少しづつ取り入れていきたいと思います。
小林さんは、この他にも二冊本をお出しになっています。多分買うな。うん、買うと思います。