「やる気」の本はたくさん読んだことがあるのですが、なかなか実践に結びつきません。作業療法士さんが書いた行動力を高める本と聞いて、「ちょっと、今までの本と違うかも」と期待して買ったのですが、「ビンゴ!」。今年出会えてよかった本の一冊になりました。
よくあるアプローチとは一味違う「やる気の出し方」と「脳」とのつきあい方が書かれています。
やるべきことに手をつけるのに、気合いは必要なかった。
著者の菅原さんは作業療法士としての知見を元にこの本を書いています。作業療法士とは、リハビリテーションに関わる職業で、心身の機能の回復を助けるのが仕事です。理学療法士は身体の機能回復を主にサポートするのに対して、作業療法士は関わる範囲が心、脳の分野にも及びます。
患者さんが出来ないことを出来るように、訓練を通してサポートするのが仕事なので、この本も「がんばる」「「気をつける」というメンタルなアプローチではなく、脳にどう刺激を与えたら目的の行動が出来るようになるのか、やる気になるのか、という作業療法士さんらしい視点で書かれています。
行動するには、脳に正しい情報を与えてあげる。
この考えを持てただけでも、この本を手に取った価値がありました。
私は人に技術を伝える仕事をしているので、「どうやったら相手は出来るようになるのか」といつも考えているのですが、これからの生徒さんへの言葉がけも変わっていくような気がします。
これは、すぐにでも始めたい。
1章には、視覚情報の影響について書かれています。
やらなきゃいけないこのがあるのに、ついテレビを見てしまう、スマホをいじってしまう、なんて、私もこの罠に日常茶飯にハマっています。そして、その後「また見ちゃった」と後悔することしきり。
それを防ぐには、「リモコンを見ない」「スマホを見ない」が大切なんだそうです。
「目に入ったものを重要なものだと思う」のが脳の特徴で、目に入った瞬間に脳は「テレビ(スマホ)を見よう」と動き始めるらしいのです。なのに、「見てはいけない」と念じるのは全く逆の命令です。またハマってると思いながら見てしまうのは、それだけ視覚情報の力が強いということなんですね。
何かやるべきことがあるのなら、その前に「目に入らない定位置に置く」が効果的で理にかなった方法なんだそうです。
スマホを目に見えない決まった場所に置くくらいは、すぐにでも出来そうなので早速試してみたいと思います。