英語のその先。強くてしなやかな人になろうよ。グラスルーツ「小学生地獄の英語合宿」

英語の先生たちは、英語のその先の事を考えている方が多いような気がします。英語を操ることではなくて、別の文化を持つ人とどう関わっていくのか?といったことです。

技術の進歩で言葉の壁はなくなってしまうかもしれないけれど、自分と違う価値観を持った人と認め合う心って、技術では補えないよね。

英語合宿で子ども達の側にいて、そんなことを思いました。

グローバルって、そんなにキレイ事ではない・・・気がする。

よく英語の謳い文句に「グローバルな人になろう」なんて言うのがあるけど、グローバルってそんなにカッコよくないと思っています。

外国語を話したり海外で何かするのは、凹む事や苛立ちや納得のいかないことの連続。自分の価値観を壊されることだってあります。

その度に落ち込んで、自信をなくして・・・のくり返し。

結局は「今ここにいる私が持っている力で解決していくしかないんだ」と自覚して、開き直って進んでいくしかないと思っています。もちろん、その途中に新しい価値観や自分に出会うワクワクがいっぱいあるから英語を止めないで来たんですけれど。

苦手な事や失敗しそうな事を避けて通る子どもは多い。

この合宿で、失敗しそうなことには「ムリムリムリ!」と、やる前から尻込みする子や、茶化して逃げようとする子を何人も見ました。程度は色々ですが、そういう子って本当に珍しくありません。特別な事ではないのです。

先生から見ていると、逃げないで取り組めば開花しそうな長所も見えているのに、正面から取り組まないので成果も出ないし、自分に自信が持てずにいます。劣等感があるのに、それも正面から見るのも嫌。また失敗して、自分がダメだと思いたくないから、挑戦したくない気持ちも分かるけれど、それでは、いつまでたっても逃げ続けないといけないんだよなぁ。

私が英語合宿で担当したのも、ちょっとそんな所が見え隠れする子でした。

ダメ出しが怖い。

英語合宿の課題に、英語九九を暗唱するというものがありました。自分でどれだけ覚えるか量を決めて合宿中に頑張って練習します。自分で目標を決めて、自分で挑戦していきます。

英語九九はグラスルーツで考案された「コンパクトに九九にまとめられた英語の基本文」です。1つのユニットが肯定文、疑問文、否定文、否定疑問文の4つの文から出来ています。

すでに発音でダメ出しを受けていたA君は、「え~、出来ない」「オレ、これだけでいいや」と既に知っているもの1ユニットだけを選びました。新しい事をやって、失敗するのが怖いようです。

引率してきたA君の先生に「目標はそれでいい?」聞くと、「あり得ない~。他の同級生は少なくとも3つは挑戦しているよ!」との事。

遊びながら一緒にやってみると、あっという間に次の一つも言えました。「ほらね、もう覚えちゃったじゃん」と私が言うと、「え~でも。マジ出来ない」とまだ逃げ腰。うーーーん、これ以上進むより、この一つを仕上げて自信を持ってもらった方がいいようです。

「怖い!」A君と同じ気持ちになった。

この暗唱は、合宿の最後に父兄の前で発表する予定になっていました。大勢の大人の前で発表すると緊張して覚えた事が真っ白になる可能性があるので、何度も何度も練習します。

覚えてしまった後も、更に発音や口先だけではないイメージを伴った発話になるように九九を磨き上げます。

教える側は、数十回と基本文を言うことで英語の基礎が出来るという狙いもあるんですが、本人はそれどころじゃありません。もう2日目の午後になると追い込みで先生も生徒も必死。仕上げに、がめら先生やベテラン先生の前に並んでプチ・リハーサルをくり返します。

A君も大体仕上がったので、列に並ぶように言うと「やっぱり止める」「オレ、あっちの(やさしそうな)先生の方に並ぶ」と往生際が悪い。

顔を覗くと、目はうるんでいて、足は内股、腰が引けて、今にも列から抜けようとしています。本当に怖いんだ。

どうしてか、私の中でスキーで滑ったことのない急な斜面に立った記憶がよみがえってきました。本当に怖い、どうしてここに来ちゃったんだろう。滑らなきゃ帰れない。でも・・・。

私も一緒にやってるからね。

「足をしっかり開いて。大きく息をすって。行くって決めたら、飛び込むんだよ。その方が上手くいくからね。」

私が口にしていたのは・・・完全にスキーの指導(笑)。

でも、これは私の腹のくくり方でもありました。ここで腹をくくって、やりきらないと「やっぱり自分は出来なかった」という体験を増やしてしまう、それだけは避けたいと思いました。

がめら先生はA君が怖がっていたほどダメ出しをせず、A君も上手くリハーサルが出来ました。「ほら、ちゃんと出来たじゃん」A君、ちょっと誇らしそうにニヤッと笑います。

この地獄の合宿は、地獄というだけあって自分の今の力の少し上に挑戦していきます。出来なかった事をするから失敗もするし、自分の出来なさ加減に向き合うこともあるので、厳しいと言えば厳しいです。それって、英語を使う時に直面する厳しさに通じるような気がします。

でもね、私みたいに横についてる先生は、みんな自分も同じ挑戦をしている気分になって手伝っています。指導というより、その子の応援団長気分。

なかなか普段のレッスンでは「英語のその先」を伝えることが出来ないのですが、合宿では横でしっかり支えながら体験から伝えられている気がしました。

それって、英語より大事なこと。この合宿で、少しでも感じて帰ってくれると嬉しいなぁ。

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