子ども達に英語を教え始めたばかりの頃、通常の教え方では足りない部分を感じていて様々な指導法の研修やセミナーに通っていた頃がありました。
先生が遠くにいても、これだと思ったら飛行機に乗ってでも研修に参加していたころです。
その頃に出会ったのが、落語を使って英語を教えるという方法でした。
その教え方を知ったのが2011年のことだったのですが、今もやはり理にかなった学習法だと思っています。
今日は落語で英語がなぜ身につくのかについて、私なりに説明してみようと思います。
英語を勉強しているのを忘れるほど、演じる事、人を笑わせる事は楽しい。
やってみると分かりますが、演じる事、自分以外の誰かになる事は単純に楽しいものです。落語は演劇ではありませんが、おかみさんやご隠居さんなど一人で何役も演じ分けないといけません。
どうやったら「その人らしく」なるのか、アレコレと自分なりの工夫をする楽しさが落語にはあります。
加えて、自分が言ったことに聞き手が反応してくれているのを実感した子どもさんは、無意識にコミュニケーションは楽しいと感じるようです。
話し手と聞き手の複雑で不思議なやりとりは、ソーシャルな楽しさがあるような気がします。
落語で、もっと笑わせたい、次を反応が見たいと思うと、英語を使っている事も忘れてしまいます。やらされてるのではなく、もっとやりたくなる楽しさがあるのです。
夢中で、繰り返し英語を練習している。
落語で聞き手を引き込もうと思うと、演じるのではなく、あたかも自分が感じているように話さなければなりません。
小道具も舞台装置もない中で聞き手に意図したものを想像してもらうのが落語です。
話し手も聞き手も、その場に登場人物がいて物があるように感じている必要があります。
そのためには、内容を「暗記」しているレベルではなく、無意識で口から出てくるくらいに覚えてしまう必要があります。
もちろん、英語で、です。
自分がその人になりきれるレベルまで何度も何度も内容を繰り返し練習するのです。
その練習量たるや、レッスンでセンテンスをリピートする数十倍以上・・・。
普通のレッスンでこんなに練習できるものは他になかなかお目にかかりません。
夢中になってるので、本人に全然やらされ感がないのも、凄い教え方だなぁと思います。
言葉を完全に自分のものにしないと落語にならない。
例えば、”Where do you go?”(どこへいくの?)を、子どもさんにどうやって覚えてもらったらいいでしょう?
英語落語では、ご隠居さんが八っつぁんに、”Where do you go?”(おい、どこへいくんだい?)と聞いたり、おかみさんが旦那さんに ”Where do you go?”(あんた、どこにいくんだい?)なんて、幾通りも出てきます。
しかも、登場人物それぞれの関係性、シチュエーション、感情、性格で言い方は全部変わってきます。
もう何も考えなくてもいいほど役柄になりきって練習した ”Where do you go?”は、自分の感情と、口から出る言葉がぴたっと一つになっています。
機械的には暗記した言葉ではなく、自分の感情がくっついた言葉は記憶にしっかりしっかり焼付きます。
自分の言葉になった英語は忘れることがありません。
自然な覚え方が出来る。
感情が起こって、つぎに口をついて言葉が出るというセットで英語のフレーズを覚えているので、より自然な流れで英語が記憶されています。
教科書の読み書きや、繰り返し練習にはそれがないので、何年も英語を勉強しても喋れないのだと思います。
「感情と言葉のセット」があるので、とっさでも口から出る形になって頭の中にストックされるところが、英語落語のすごいところだと思います。
英語落語に興味がある方に。
私が英語落語に出会ったキッカケ。
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