「ゆっくり、いそげ」影山知明さん:著 起業を考えている人やモノの価値について再考したい人にすすめたい。【書評】

この本は西国分寺にある「クルミドコーヒー」のオーナー、影山知明さんが書かれた本です。

私がこの本を知ったのは、このブログ記事がキッカケでした。「人を手段化しない経済」って何だろう・・・この言葉がすごく気になって、詳しい事も分からないけれど、とにかくアマゾンでこの本をポチ。

何だか良さそう・・・訳もなくそう思う時は、「当たり」な場合が多いので、今回もそれを信じて即購入です。

こんな本です。

この本は元々はコンサルティングやベンチャー投資を生業にされていた影山さんがどのような考え方で西国分寺にカフェを開店し、日々の経営を続けているか書かれたものです。

経営や投資のプロフェッショナルだった影山さんが、どうしてカフェを始めたんだろう?という興味から、影山さん独特の価値や経済活動の読み解き方がとても魅力的でグイグイ引き込まれた本でした。

本のタイトル「ゆっくりいそげ:Festina lente」は、ヨーロッパで古くから用いられている格言で、日本語では「急がば回れ」と同じ意味なんだそうです。本の冒頭にオリンピック水泳金メダリストの北島康介選手に、平井コーチが決勝直前に言ったアドバイス「勇気を持ってゆっくり行け」というフレーズが出てきますが、影山さんのビジネスに対する考え方は、この言葉に象徴されているような気がしました。

かけるべき時間と手間をかけ、サービスの受け手と時間をかけて関係を築くことで結果が返ってくることを、北島康介選手が「一生懸命、全力を尽くして、ゆっくり泳いで」メダルを取ったエピソードと重ねている点が印象的です。

人には、少しでも得したい一面と贈り主になりたい一面が同居する。

経済的な側面から見ると、世の中には価格に敏感な人と値段など気にしない人がいると分けがちですが、影山さんは一人の人間の中にその両方が存在していると言っています。この本を読んだあとは、そのどちら側と関係性を築いていくのかはサービスを提供する側は意識する必要があるんだなと事あるごとに思い出します。

組織を離れて個人で仕事を始めると、否応なしに自分の提供しているサービスって何なんだろう?とか、このモノの価値をどうやって測ればいいのだろう?と根本的な事を考えることが増えて迷いも出るのですが、この本を読んで少し心の霧が晴れたような気がします。

仕事を通して「贈り物」をしているんだ、仕事を通して金銭だけではない複雑な価値の交換をしているんだという影山さんの考え方は深く同意できましたし、長く自分の心に留めておきたい考え方だと思いました。「贈り物」と耳に優しい言葉を使っていますが、決して理想論ではない仕事論として、女性で起業したばかりの人や起業を考えている人なら一読の価値があるのではないかと思いました。

ガチガチの経済書でもなく、かといって軽い読み物でもなく、経済活動とは?価値の交換とは?といった私達が日々関わっているものごとに対して、新しい考え方を提示してくれた素晴らしい本でした。

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