「没頭力」 つまらない人生を解決する技術 吉田 尚記さん:著 【書評】

以前、『なぜ、この人と話をすると楽になるのか』を読みました。吉田尚記さんはラジオパーソナリティなので、吉田さんの書く文章は耳で聞くようにスルスルと頭に入ってきます。

昨年(2018年)に出版された『没頭力 「なんかつまらない」を解決する技術』も同じようにリズムの良い読みやすい文章です。

吉田さんが考える幸せな人生とは、没頭した時間がたくさんある人生。

吉田さんは、人生の究極の目標はワクワクして目が覚めて夜満ち足りて眠る毎日を送ること、それには没頭できることをたくさん持っていることだと言っています。その没頭した状態(フロー)をどうやって作るのかについてがこの本です。吉田さんがどうしても書きたくて情熱をそそいだテーマです。

没頭するための条件、吉田流の再定義は行動に移しやすい。

吉田さんは、没頭するにはどうしたらいいか、アメリカの心理学者チクセントミハイの没頭の条件から再定義をしています。チクセントミハイはフローの概念(今取り組んでいることに100%集中した状態)を提唱したので有名な人です。

没頭するための条件 チクセントミハイ
①ゴールが明確で進捗が即座にわかる
②洗練と集中、注意力の限定された分野の高度な集中
③活動と意識の融合が起こる
④自己の認識や自意識の喪失
⑤時間感覚の歪み
⑥状況や活動を自分でコントロールしている感覚
⑦行動そのものに本質的な価値を見出している
⑧能力の水準と課題の難易度とのバランスが良い

没頭するための条件 吉田尚記
①ゴールとルールがはっきりしていて、フィードバックが早いこと
②目の前のことに100%集中していること
③無意識に体を動かしていること
④自分と言うものをなくしていること
⑤時間の感覚がなくなっていること
⑥その場の状況自分でコントロールできていること。
⑦その行動自体が目的になっていること
⑧自分の持っているスキルと課題のバランスが取れていること

吉田さんの言い方の方がなるほど、と分かりやすくて行動に移しやすいです。

没頭するために必要なことは、3つに集約される。

やったことが成功か失敗か一発で分かる。
結果が得られるまでのスパンが短い。
自分のスキルより4%難しいことに挑戦する。

この3つがしっかり出来ると夢中になれる、つまり没頭して充実した時間が送れるそうです。

この3つのことって成長の3条件とも言い替えられそうですよね。

没頭には不安がつきもの。その不安はどうやって飼いならすのか?

プロ棋士は対局前には緊張や不安で副交感スイッチが入っていますが、対局が始まってしまうと交感神経のスイッチが入ってリラックスします。その結果、将棋に対して深く没頭していきます。

世の中は不安をどうやって取り除く方法ばかりを追っていますが、吉田さんは不安はフローに入るためにステップとして大切なんだ、逆に言えば自分が不安に思うような事でなければ没頭しない、と言っています。

私もずっと不安は感じないほうがいいと思っていましたが、この本を読んでからは不安があるということは自分が真剣に取り組んでいる証拠なんだと考えが変わりました。没頭と不安はセットなんだと思っていると不安に飲み込まれすに済む、という一節はこの本の中でも一番心に響いた部分です。

夢中になっていることを発信するのは価値のあること。

私は昔に比べると、ずいぶん自分の好きなこと、やっていることをブログに書いたりするようになりましたが、どこかに気恥ずかしい、遠慮するような気持ちがあります。無名の一般人の私が何を好きだろうが夢中になっていようが、他の人にはどうでもいいことだと思っていました。

この本で吉田さんは、人間は、没頭している人や夢中になっている人が大好きだと書いています。確かにライブで夢中で演奏しているミュージシャンや、本気でパフォーマンスをするアイドル、この一瞬に全てをかけたスポーツに人は価値を感じます。

そういう意味では、ブログやSNSで自分が夢中になってやっていることを発信するのは見ている人にとっては楽しいものなのかもしれません。「没頭力」を読んで、こんな新しい視点が生まれて、ちょっと嬉しくなっています。

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