英検二次試験 タイプ別スピーキング上達法 受験者自身について話す問題も沈黙しない!

英検3級以上の受験は、二次試験(面接試験)があります。大まかな流れは問題カードを音読(準1級はナレーション)し、カードに関する質問が前半に1~3問、後半には受験者自身について話す問題が1~2問出ます。

そのスピーキングの試験で後半の自分自身のことを話す際に、こんな苦手を持つ生徒さんはいないでしょうか?

  • 沈黙してしまう(自分自身について英語で話すことが苦手)。
  • 自分の意見を言えない(日本語でも、英語でも)。
  • ワンフレーズ目は言えるが、次が出てこない。

英語で自分の考えを話すことに慣れていない生徒さんに対して、私が行っている苦手タイプ別の解決策についてまとめました。お時間のない方は大きい目次の1番は飛ばして、2番のタイプ分けと練習からお読みください。

(本記事は、2018年11月時点の情報に基づいて書いています)

3級から準1級まで、面接で聞かれる問題数と受験者自身の意見が求められる問題の割合

3級(全5問中、受験者自身に関する問題2問)

受験者自身について尋ねられるのはNo. 4と No. 5です。意見というより「したい」「好き」「している」など身近な事を答える問題です。I’d [I would] like to do(私は…したいです)という表現などを使って答えられればOKです。

準2級(全5問中、受験者自身に関する問題2問)

No. 4が「問題カード」と関連性のある内容について、YesかNoで答える意見とその理由。 No. 5はカードに関係なく、受験者自身の意見や好み、行動などを聞かれます。2文程度話す必要があります。

2級(全4問中、受験者自身に関する問題2問)

No. 3は「問題カード」と関連性のある内容について、YesかNoではなくI think ~で答えるタイプの質問です。No. 4は「問題カード」の話題とは関連がない現在の社会現象についての質問です。YesかNoで答えた後にその理由を問われるタイプの質問です。

準1級(全4問中、4問すべて受験者自身の考えが必要)

関連性の大小はありますが、ほぼ全て問題カードに関して自分の考えを述べる設問になっています。

タイプA.日本語でも自分の考えを言葉に出来ない。

このタイプの方は日本語でも意見や自分の考えを聞くと口ごもってしまいます。好きなTV番組や遊びや身近な話題では饒舌でも、「どうして好きなの?」と聞くと、答えられないパターンもあります。その原因として次のようなことが考えられます。

  • 周りの人から「なぜ、そう思うか?」という質問をされる習慣がない。
  • 自分の考えはあるが、相手の考えを先回りをして、「あれはダメ、これはダメ」と話す前に自分でダメ出しをしてしまう。
  • その考えや気持ちを表現する語彙を持っていない。
  • 周りの人が先回りをして、言いたい事を分かってくれていた(自分の考えを言葉にする必要がなかった)。

解決策

何も答えられない場合は、YESかNOか選ぶ練習から始めます。

「猫と犬はどっちが好き?」など身近な事柄からスタートしても構いませんし、ある程度意見が言える生徒さんであれば雑談のように「今後、外国から日本に来る旅行者は増えると思う?」等、より問題に類似したトピックについて質問します。

そして、どうしてYESを選んだのか、NOを選んだのか、ワンフレーズでいいので言ってみるように促します。その時に指導する側はどんな意見でも否定せず、面白がる、興味を持つといった引き出す姿勢が大切です。

そのワンフレーズが出たら、なぜ、そう思うのか?一緒に考えてみてください。「~なのかな?」「違うと思ったんだよね、なんでだろうね?」一言でも出たら、言えたことに対して一緒に喜ぶ姿勢が大事です。その気持ちや事象を表す語彙を知らない時は○○って言うんだよ、面白いよねぇと言葉に関心を持ってもらう方向で手助けします。そうすると徐々に語彙が多いと楽に思っている事が言えていいなぁと気がついてきます。

少しずつこれを繰り返していると、徐々に自分がYESなのは~だから、NOなのは~だから、と意見を言えるようになってきます。

タイプB.英語でどう表現してよいか分からない。

日本語では思っている事が言えても、その事をどうやって英語で表現したら良いのか分からないのがこのタイプです。

  • 日本語で複雑な文章構造で表現しているものを、そのまま英語でもやろうとしている。
  • 自由に中身を入れ替えて使えるようになった英語のセンテンスをもっていない。
  • 英語は難しい=単純な英語ではダメなんだと思っている。

解決策

自分が思っている事を、その時に自分が使える英語で表現しなければコミュニケーションは成り立ちません。自然で流暢なセンテンスが作れるのに越したことはないですが、このレベルの生徒さんには「中1~中2で習うような簡単な英語なら、どうやって言えばいいと思う?」と促して、簡単な英語で自分の考えを表現するトレーニングをします。

大学受験や実際の場面でも、複文や重文の分かりづらい英語より簡潔で誤解を招かないシンプルな英語が評価されます。無理に難しくする必要はないのです。

自分が使いこなせて、かつ誤解を与えない英語の文章を組み立てる力がスピーキング、ライティングには必要です。その事については、会話・英作文で英語をスムーズに組み立てるには、英語以前に必要な能力がある。に詳しく書いています。

もちろん、英検の参考書に載っている解答例に使われているセンテンス例はしっかりと覚えて、中の単語を入れ替えて様々な事を言えるようになっておくことは必要です。

It is 形容詞(for A)to do.「(Aにとって)…することは○○です」

などの構文を使って、即座に口から出てくるまで、自分の事をたくさん言ってみる練習をします。例文の暗記ではなく「我が事」なのが大切なところです。

タイプC.一言目はなんとか言えるが、次に言うことが出てこない。

このタイプの生徒さんは、なんとか一言目の英語は出るのですが、その後に続く言葉が出てきません。その理由を聞いてみると何も思い浮かばないそうです。

解決策

ずばり一人ツッコミです。自分が言ったことに対して、自分が、友人、先生、面接官etcになったつもりで質問してもらいます。「日本文化を体験するために外国から日本に来る旅行者は増えると思う」と言った場合、「例えばどんな日本文化?」「日本の文化でどんなものを見てもらいたい?」など、質問者になったつもりで気楽に自分に質問をするのです。そして、その答えを英語にします。

「明日、何して遊ぶ?」と同じ、普段の日本語の会話と変りなく気楽に考えればいいことを伝えます。そういう風に考えると比較的次の言葉が出てくることが多いです。

慣れないうちは日本語で自分で質問→自分で答える→答えを英語に直す、という風にしますし、大丈夫そうなら頭の中で自分で質問し、英語で答えるという風にする時もあります。

タイプD.英語を話す時に緊張しすぎる。

学校や英語スクールで「正しい英文法」「正しい発音」を意識して習ってきた生徒さんにありがちですが、間違ってはいけないと過度に意識しすぎて言葉が出てこない場合があります。

面接の時に、沈黙するのはNGと言われると、かえって焦るタイプの生徒さんもいます。

解決策

時々生徒さんに伝えるのですが、日本人だって、注意して聞いてると、しょっちゅう日本語を間違えてます。ネイティブだって英語、言い間違います。だから間違うのは普通のこと、気にしなくてもいいんです。それに、

あなたと話す人(英語話者)は、あなたの英語の正しさより、確実にあなたの考えや、性格、人柄の方が大切だと思っています。

それよりも、相手に伝えたい、相手の事が分かりたいという気持ちがあればいいし、それが面接試験でもアティチュードとして評価されるから大丈夫!

そう言って、リラックスしてもらったら、次は練習して楽に言えるようになった過去問題などのセンテンスを自分の言葉として言う練習をしてもらいます。内容も自分が思っていることに単語などを変えて、日本語の普段のお喋りのように言えるようにします。それを繰り返すことで、当日緊張してもセンテンスを度忘れしなくなりますし、考えたことがスッと口から出るようになってきます。「英語を話す」ことは特別なことでなくて「家族や友達との会話と同じ」だと体に染み込ませるイメージです。

話している時の生徒さんの視線が上の方を見ている時はまだ「思い出そうとしている」状態なので、相手の方を見て言えるようにトレーニングをガイドしてください。相手を見ているということは英語が自動で口から出るようになってきて、話している内容や相手の反応を見る余裕が出てきた状態です。

それに、相手を見て話すのはコミュニケーションの基本ですし、面接で評価される正しいアティチュードでもあります。

まとめ

私が出会った生徒さんの中には、日本語でも自分の考えを伝えるのが苦手だったり、何も思いつかないと沈黙してしまう方も少なくありませんでした。英検の参考書などで、面接で使えるフレーズや対処療法的な試験対策は見つけられるのですが、そういった生徒さんが話せるようになる方法がなかったので試行錯誤から上記のようなトレーニングをするようになりました。

せっかくの英検という機会なので、それを使って「自分の言葉で話す」「相手に自分のことを分かってもらう」という態度を育てれば、英検だけでなく全てのスピーキングに応用できる力がつくと思っています。

二次面接のレッスンを終えた生徒さんからは「英語で話すのが楽しくなってきた」「思っていることを英語に出来るようになってきた」と感想を聞くので、ぜひやってみてください。

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