バイリンガルとか帰国子女って英語が出来ていいなぁと思う人に。帰国子女の実際とそこから学ぶヒント。

バイリンガル教育の本は何冊か読んでいるのですが、先日、帰国子女について書いた良い本に出会いました。

夫の転勤でアメリカで暮らす事になったお母さんが、我が子が英語を覚える過程と帰国した後を詳しく書いたものです。この本はお母さんが英語の先生だったので実に細かく英語が出来るようになる過程が書かれていて、リアルでとてもいい本でした。

帰国子女の実際

私の甥と姪は今アメリカで暮らしていて、いずれ帰国子女になる予定です。私の友達にも何人か帰国子女いますが、帰国子女と言っても語学力はそれぞれですし、決して楽をして語学力を身につけているわけではありません。

今まで読んだ本や私が見聞きした事から、帰国子女から学べることはないか考えてみました。

外国に住んでいるだけでは英語が話せるわけではない

何となく、帰国子女は特に努力しなくても英語が出来ていいなぁというイメージを持つと思いますが、実際は何歳で行っていたのか、どれくらい行っていたのか、本人の性格と色んな要素が関係していて、全員が英語話者になれるわけでもありません。

小学生までの時期に数年間暮らしただけの場合、日本に戻ってきて英語を忘れてしまう事も少なくないのです。

外国のアメリカンスクールに通っていても、英語圏にない場合は外に出れば現地語、家では日本語と英語を使っている時間も限られるわけです。ドイツのアメリカンスクールにいた友達がいますが、英語に苦手意識はないけれど・・・という程度の語学力です。

英語が出来るようになるには、やっぱり努力が必要

私の甥っ子達の暮らしぶりを聞いていると、幼いのに頑張っているなぁと思います。現地の小学校に入学したので最初は言葉も分からず苦労していましたし、数年経った今は現地の友人が出来ましたが、今度は年齢なりの日本語が出来るように週末は時間をかけて少し離れた日本語の補習校に通っています。何もしないと帰国した時、漢字が読めなくなったり日本語の授業についていけません。

結局、日本の子どもの倍の勉強をしているわけです。もちろん英語で学校についていくのも大変です。

前出の川合典子さんの本でも子ども達が英語の授業についていけるようになるまで2年以上かかり、それまでは川合さんがずっと宿題を手伝い続けていたそうです。

興味深いのは、「子ども達は日本語で意味を理解し、それから英語を覚えるという訳語形式の学習で英語を理解していった」というくだりです。日本では日本語にいったん訳して覚える訳語形式の勉強は「悪」というムードですが、現実は違うと川合典子さんは仰っています。

英語に囲まれて暮らす帰国子女も、数倍努力しているから英語が出来るんだと理解しておくべきです。

大人の言葉は、自然に身につかない。

日本語だとあまり意識しないのですが、普段の生活だけではマスターできない言葉があります。学校かまたは本を読むことでしか身につかない言葉があるのです(最近は動画もアリかもしれませんが、それは少数)。

良い例かどうか分かりませんが、小学生同士の日常の会話で「熟考」とか「和解」「承認」なんて言葉は使いませんよね。こういった言葉は学校か本の中で学んでいく言葉なんです。

これくらいの言葉だったら、私達日本人は普段の会話で使うこともあるし(あるかな?)、使わなくても意味は分かります。それは何だかんだ言って学校で勉強したり新聞や本で見かけたりしているからです。

英語圏で暮らしていても、小学生くらいで帰国すると、こういった言葉は知らないまま帰国子女と呼ばれる事になります。英語を忘れなければ簡単な会話は出来るかもしれないけれど、幼稚な言葉遣いしか出来ません。

私の甥っ子達のお母さんも、日本語の本を取り寄せて子ども達に熱心に読ませています。現地にいると今度は日本語の語いが不足するのが分かっているからです。

結局、コツコツ勉強するのが王道

英語学習で楽をしていそうな人たちも、それなりの苦労があります。留学したら一気に英語が出来るようになりそうだけれど、そうでもないのです。

現地に暮らす人達も結局コツコツと努力しています。

英語の勉強は大変だし、時間がかかるので嫌になるときもありますが、近道はあんまりなさそうです。

そんな現実が色々と書いているので、勉強に疲れた時に読むと、また頑張ろうと思える本です。バイリンガル教育について書かれた本の中でも読みやすくて参考になった本でした。

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