本を使った活動をしたいなと思って、「スケッチノート読書会」をスタートしたのですが、参加者の皆さんに本をまとめてもらっているうちに「自分で気付いていなかった自分の頭の中」が可視化されることがあって、びっくりしています。
スケッチノート読書会とは
スケッチノートは、ビジュアルを使ってノートをとる方法です。私自身が自分の書いたノートを後から見ても何を書き残したかったのか分からないので、何とかならないかと工夫した結果のノートのまとめ方です。
カラフルなイラストがとても目を引くのですが、私自身は情報の構造化(漫然とノートに書きつけた内容を再編集すること)に意味があると思っています。
補助的にスケッチノートの手法を使いますが、ワークシートにそって読んだ本をまとめ直すので、絵に自信がなくても問題なく進められます。
無意識を意識に引っ張り出す作業にもなっている?
スケッチノート読書会に参加される方には、読みっぱなしになっている本、読み直して自分に役立てたい本を持ってきてくださいとお願いしています。
参加者さんが持ってくる本は、一見その方が心に抱えているものと関係ないタイトルですが、ノートにまとめているうちに、「本当はこう思っていた」と本人が気づく場面に何回か出くわしました。
本をキッカケにして自分の頭の中を紙の上に書き出しているうちに、モヤモヤと無意識に思っていたことがハッキリ見えてくるようなのです。「最近、子どもが勉強に身が入らないみたいだけど、どうしたら良い?」とか、「プレゼンが上手くなりたいと思っていたけど、本当は理想の自分に近づくためにはプレゼンの技術を磨く必要はなかった」とか、読書会の後にもっとやるべきことや進むべき道がハッキリすることが少なくありません。それって、必ず起きることでもないし、それが読書会の目的でもなかったので、主催している私がちょっと驚いています。
本の内容をノートに書き取ったり、口に出したりすることで、いつの間にか今まで意識していなかった自分の気持ちにまで到達できて、それが出来た方はちょっとスッキリした顔をして帰られるような気がします。
本の内容の半分は、自分の頭の中にある。
随分前に読んだプロのライターさんが書いた文章術の本で、とても印象的なものがあって忘れられないでいます。読んで面白い本というものは、知ってること半分、知らないこと半分で出来ているというのです。
知っている事ばかりだと「そんな事しってるよ!」とつまらないし、知らない事ばかりだと「難しすぎて分からない!」となるので、本は読み手が知っていると感じる内容と知らなかったと思う内容との割合が大事という内容でした。
確かに、良いなと思う本には「私の思っていること」の再確認の部分(そうそう、私もそれが言いたかったと思う部分)と、「それは知らなかった!」(自分が知らなかった新しい考え)という部分が丁度いい具合に混じり合っています。
普段あまり意識していないけれど、本の内容の半分は自分の頭の中にもあるんだと気づかせてくれた本でした。
本の内容をまとめることで、モヤモヤの本質に向き合える?
スケッチノート読書会の最初に、何故その本を選んだのか参加者さんに聞くのですが、最初は表面的な理由しか出てきません。そもそも頭の中にモヤモヤと「気になっていることがある」ことに気付いていません。
モヤモヤに気がつかないせいで、本人の行動はその問題の外をグルグル廻っていて、「うまくいかない」と思う気持ちだけが積み残されている気がします。不思議だけど、その人を本に向かわせた理由は、すでに自分が持っていたモヤモヤとした気持ちとしか思えないのです。
本をまとめ直すことで、モヤモヤが解きほぐされたり、新しい視線が持てたりします。言葉や図に落とし込むことによって、問題の本質に迫れることも少なくありません。
モヤモヤの本質に気づいたからと言って、何でもすぐ解決するわけではありませんが、少なくとも解決に向けて一歩進めた感覚がさっき言った「スッキリした顔」の原因なのではないかなと思います。
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