先日、NHKの番組「日本のジレンマ」のスピンオフ番組を見て、ある方の言葉を聞いてから考えています。
新世代が解く!ニッポンのジレンマ「元日SP反響編 AIのジレンマ大研究」 – NHK
仕事には、名前は変わらないけれど、仕事の内容が変化しているものと、やる事は同じだけど、名前が変わっていくものがある。
こんな事を仰っていたのは、石山洸さんという方です。リクルートのIT専門の執行役員「IT-EXE」や、MTL(メディアテクノロジーラボ)の所長、現在はリクルートの人工知能研究所の推進室長をされています。
AI(人工知能)に最も近そうな石山洸さんが発したこの言葉に、すごくハッとしたんです。
人工知能の登場で仕事がなくなってしまう?
人工知能の登場で多くの仕事がなくなってしまうと言われています。私も、自分がやっている仕事がどうなるのか、子ども達の将来がどうなるのか気になっています。
オックスフォード大学が認定 あと10年で「消える職業」「なくなる仕事」(週刊現代) | 現代ビジネス | 講談社(1/5)
(消える職業のリストは現代ビジネスさんのサイトからお借りしています。)
私は英語の先生としても働いていますが、英語なんて翻訳機がもはや実用レベルに達しそうです。英語を教える仕事なんて要らなくなるんじゃないかと思えてきます。
同じように、自分の仕事が人工知能に奪われそうな不安を感じている人は多いんじゃないでしょうか。
こんなリストを見ると恐怖感ばかりあおられるけれど、本当に私達は職を失ってしまうのかな?
人工知能が仕事を奪う、そんな単純な図式ではないような気がします。
名前は変わったが、同じような仕事をしている職業。
考えてみると、なくなったように見えて名前と形を変えて存在しつづけている仕事は結構あります。
- コンビニエンスストア・・・昔は近所にありましたよね、何でも売っている小さなお店。雑貨屋さん?タバコ屋さん?何と呼んでいたか忘れましたが。
- 産科医・・・昔は自宅で産婆さんが子どもを取り上げていましたが、産婆さんという職業は聞かなくなりました。今は医師が病院で出産を補助します。
名前は同じだが、仕事の内容が変わってきた職業
- 歯科医・・・昔は歯医者さんは歯が悪くなってから行くものだったのに、今は予防やメンテナンスのために行く割合が増えました。
- 農業・・・情報発信したり、新しい付加価値を考えたり、直販したり・・・農作業以外の作業をしている農家さんはたくさんいます。
- 呉服屋・・・着物を着る機会が減って、着物を売っているだけでは立ち行かなくなりました。残っている呉服屋さんは貸衣装業がメインになっていることも。
フィルムが不要になって生き残った富士フイルムは、医薬や化粧品メーカーに変わりました。サントリーは栄養サプリメントに力を入れていますし、イオンは金融業が大きな利益を出しています。
一見すると変わっていないようで、内容が少しづつ変化している仕事というのは目に留まりにくいです。
英語の先生は、名前は同じでも教えることが変わっていく?
機械翻訳が実用化してきて、英語は将来勉強しなくてもいいような気がします。
でも、日本の考え方や常識を単純に英語に訳しても、うまくコミュニケーションできない時もあります。
先日も、「ひな祭り」がどんな祭りなのか、一言(girls’ festival,またはDoll Festival) では伝えられないんだよなぁと苦心しました。
考え方や常識の違い、習慣や背負っている文化の違い、そんな非言語な情報もまだまだ訳しきれません。
英語を教える人は、今後は英語を使ったコミュニケーションスキル全般を教えるようになるんじゃないかと思っています。名前はそのままだけれども、中身は変わっていかざるをえない予感がします。
石山洸さんの言葉を知ったお陰で、やみくもに不安にならずに将来の働き方を考えられる気がしました。
石山洸さんの言っていた言葉は、大切に胸に留めておく。
仕事には、名前は変わらないけれど、仕事の内容が変化しているものと、やる事は同じだけど、名前が変わっていくものがある。
人工知能がなかった時代にも、必要とされる仕事は変化してきました。人工知能の実用化も、あまり大騒ぎしすぎないで冷静に付き合いたいです。
石山洸さんの言っていた言葉は、将来の働き方を考える時のキーワードとして、大切に覚えておこうと思います。
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