それまで「ディスレクシア(難読症)」というものが、この世にあるとは知りませんでした。
2010年のある日、英語の指導法のヒントを探して、ある本を読んでいるときに、英語圏では10人に1人位(*この割合には諸説ありますが、おおむね8~10数パーセントの中に納まっています。この本の中では10人となっていました)の割合で、文字を読めない人がいる事を知りました。その状態をディスレクシアというのだという事も。
ショックでした。
ということは、30人クラスの中には3人は、ディスレクシアが原因で英語を読むのに苦しむ子どもがいるという事?当時、英語が苦手になる子ども達の中でも、そもそも英語を読み書きするのに苦労する子ども達を何とかできないかと考えていたので、その事は強く心に残りました。
難読症とは
ディスレクシアとは
ディスレクシアとは、知的に問題はないものの読み書きの能力に著しい困難を持つ症状を言います。
充分な教育の機会があり、視覚・聴覚の器官の異常が無いにも関わらず症状が現れた場合に称します。
という症状です。特定非営利活動法人EDGE(エッジ)さんのご説明をお借りしました。
日本語に比べて、英語はディスレクシアが表れやすい書字システムなので、日本語では問題がなくても英語の授業が始まった途端、読むのに苦労する子どもが増えることもこの後すぐに知りました。
ディスレクシアって何なんだ?と調べれば調べるほど、一つ分かると新しい疑問が生まれてきて、たくさんの本を読んだり、人に聞いたりしてきました。
ディスレクシアを理解する難しさの一つは、「読めない、読むのが難しい」とはどういう状態なのか、外から見えない事にあります。また、原因も様々です。見え方、記憶、音を文字に変換する過程、色々な原因があります。本当は読みに困難があるのに、他の得意な処理方法をつかって補完している場合もあります。
ディスレクシアは特別か?
ディスレクシアは学習障害の一種と位置づけられていますが、特別なことだろうか?と思い始めています。10数人に一人というのは、決して少ない数字ではありません。
読める、読めないは2つの対立した能力ではなく、グラデーションのごとく連続した切れ目のないものであり、誰でも「さらに上手く読めるようになる」方法があり、難読症も障がいと名前がついているから自分には関係ないといったものではないと思うようになりました。
英語を教えていると、同じように教えているのに「読めない・書けない」生徒がいて、どうしたものか答えを探している先生の悩みをよく聞きます。しかし私たちが習ってきた英語の教え方が、そもそも乱暴だったのでは?と思います。むしろ、それで出来るようになっている事こそ、すごいぞ生徒!と感じずにはいられません。
ディスレクシアの生徒に対する教え方には学ぶべきことがたくさんあり、それは英語を学ぶ誰にとっても学びやすい教え方です。英語を教える人、英語を読んだり書いたりが大変だなぁという人にもっと広まっていけばいいと思っています。
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英語を教える人はこの事を知らないで教えてはいけないと思いました。