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「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」 新井 紀子さん:著 英語教育に関わる私が気になる機械翻訳の限界について【書評】

人工知能を育て東大を受験させるプロジェクトを率いていた新井紀子さんの新著が出ました。新井さんは同時に全国25,000人の基礎的読解力を調査し、その結果について書いています。

まとまって時間が取れたこの休日、ドキドキしながら一気に読んでしまいました。この本に書かれているAIのこと、シンギュラリティのこと、人工知能は望んでいなくても私達の暮らしに影響を与え始めています。どんな人にとっても役に立つ事が書かれているので、ぜひ読んでほしい本です。

その中でも今日は、機械翻訳について書きます。

もう英語なんて勉強しなくてもいいと思い始めていた。

ここ数年でGoogle翻訳や翻訳アプリの進化はめざましく、正直、いままで長い時間とお金をかけて英語を勉強していた自分は何だったのだろうという気持ちになっていました。

この調子なら数年以内に英語を勉強する必要性はなくなってしまうかもしれない。

今まで英語を教えてきた私は、機械が言葉の壁を壊してしまった後を想像して、これから必要な力は何だろうと考えていました。しかし、どうも私が思ったように簡単に事は進まない様なのです。

機械翻訳がどんな仕組みで訳しているのかはとても面白いので、ぜひこの本を読んでいただきたいのですが、AI(人工知能)は、文意を理解して翻訳している訳ではありません。私達が無意識に分かっている「常識で考えたら言うまでもない当たり前の前提」が分かりません。その常識を理解できない事もあって(他にも理由はありますが)誤訳がなくなる道筋が分かっていない状態だそうです。

東大を受験した東ロボくんの成績の中でも英語の成績が悪かったというのは、私にとってちょっと意外でした。

AIが苦手なのは意味を理解するということ。だけど人間だからといって出来ているわけでもない。

新井さんが書く本は専門的な事をとても分かりやすく書いてくれているので、私のような超文系の人間でも腹落ちするレベルでAIのことが理解できます。

人工知能が最も苦手で、私達人間が勝っているのは意味を理解することだそうです。別の言葉で言うと読解力です。でも新井さんが警鐘を鳴らしているのは、日本の中高生の読解力テストの結果はサイコロを振って答えを選んだのと変わらないくらい低い得点だった事実です。

先に書いた、機械翻訳がある時代に何が必要か悩んだ結果、いつも必要だと思うのは文化が違う人にも分かるように伝える力です。グダグダな内容を翻訳してもグダグダな外国語しか出てきません。

同じ文化、同じ常識、同じ前提を持たない相手に伝えるには、過不足なく言いたいことをまとめる力が必要です。それって、もはや国語の力。

そして近くで見ていて、日本の子ども達は自分で考えたり、それを伝えたりするのがとても下手です。それは言葉を使った知的な活動という点で、新井さんが言っている読解力の弱さに通じているような気がします。

私は、その力はある程度慣れだと思っていますし、新井さんもいくつになっても読解力は伸ばせるだろうと言っていました。何かヒントをもらえるような気がして、早くも新井さんの次の本が出ないかと心待ちにしています。

 

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