テストの結果を測るものとして、偏差値や得点の積み上げという方法がありましたが、新しい評価軸が広がりつつあります。すでに資格試験でも使われているものもありますので、今日はその事についてお話ししようと思います。
IRTとCBT。大学入試改革もこの2つを使う方向で進んでいる。
2020年のスタートを目指して大学入試改革が進んでいます。現在年1回のセンター試験を廃止し、代わりに基礎学力をはかるテストと、センター試験の後継となる大学入学希望者の学力を評価するテストの2本立てになるという内容です。
そこで出てきた用語でIRTとCBTという言葉があるのですが、これからのテスト形式の主流になりそうなので調べてみました。すでに社会人向けの試験にも使われ始めています。
IRTは新しい能力測定法
IRTは項目応答理論(Item Response Theory)という点数の計算方法で、新しい試験理論です。複雑な確率理論を使ってスコアを算出するので、今までのように簡単に何問を解いたから何点と計算できません。私が試験監督として関わったIRTテストも、正解も配点も非公開でした。IRTはある意味では、皆さんもやったことがある視力検査に似ています。Cの開いている場所がが右とか左とか答える視力検査は、いくつの正解だったかではなく、どのレベルで安定的に正解を出したかで、視力を測定しますが、IRTもそのような能力測定のやり方です。
TOEIC、TOEFLはそのIRT形式で作成しています。IRTは難易度の調整も出来るので、いつ受けても安定的に実力が図れるので複数回受験したり、異なる回の結果を正当に比べる事が出来るところが優れています。
あの回のテストは難しかったから点が悪かったとか、今回は易しかったから合格者がたくさんいる、またはマグレで正答するという事を排除できるという点で新しいテスト形式として広がりつつあります。
CBTは、コンピューターを使うのが前提
CBTとは Computer-Based Testing(コンピュータを利用したテスト)の略で、その名の通りなのですが、コンピューターを使う事で、いままでの紙ベースのテストでは出来なかった事ができるよね、という事です。
例えば動画を使った出題、大量の資料を使う問題、即時の答え合わせが可能になります。またIRTと組み合わせて、回答した答えが正解か不正解かによって次の問題を選択することもできます。つまり一人ひとり違う問題を出してより細かい能力判定も出来るということです。いつでもどこでも受験が可能なので、テストをする側から見れば大規模な会場も不要です。
資格試験ではIT-パスポート試験、パソコン検定などコンピューター系知識のものや、漢字検定などがすでにCBTを採用しています。
徐々に古いテスト形式はなくなっていく
CBTとIRTはなじみが良く、お互いを補完する関係でもあるので一緒に語られることも多いようです。
今まで私たちが馴染んできた偏差値やペーパーテストは過去のものになりつつあるのですね。